時代はWordPress(ワードプレス)なんだよなぁ。と感じたのは今から5年ほど前。広告の入らない、自分だけの世界観でブログを発信したいなぁと。でもどうしたらいいのかナゾナゾだらけでした。

そんなナゾナゾをちょっとずつ解決しながら挑戦してみようと思って検索してみると、出てくること、出てくること。こうしたらいい、こうしたらできた、失敗はこれだった、とあらゆる体験談とアドバイスが並んでいます。検索すれば解決策がいくつもあること、アドバイスを惜しげもなく提供する人がたくさんいること。そのオープンな世界を知って「すごい世界があるもんだ」と驚きました。

フリーランスのウェブデザイナーというのはなかなか孤独なものです。じっくりと自分の世界観を高められる一方で、ちょっとした相談ができる仲間がいなくて寂しかったり、困ったり。聞きたいこともいろいろあるけれど、なかなかどうしたもんかなぁ。そんなことを思いながら、気になっていたのはWordCampという存在でした。

 

photo, wordcamp tokyo 2019 ticket

 

WordCampには何かあるはず

 

WordCampは世界各地で開催されているWordPressのイベント。WordPressに関する講演があり、WordPressに関する人と情報が大集結する場所です。WordPressに携わっている人にとっては絶好の機会。ここに行けば何かあるはず。と想像はするのですが、すごいエンジニアたちが激しく高度な話を交わしてるんじゃないかという不安もあって、なかなか行けなかった。何年か前のバンコクも去年の東京もいくつかスルーしてしまったはずです。

そのWordCampが今年東京で開催されると知り、決心して参加してみました。

結論。参加してみたら、とっても楽しかった。会場では「初参加の人もウェルカム!」とあちこちで司会の方やスピーカーさんが呼びかけていました。甘んじて「初参加です」と自己紹介すると「ようこそ」の温かい声が返ってきました。わからなければ隣の人に聞いてみる、迷ったらセンパイ風の人に尋ねてみる。すると実に親切に教えてもらえるのです。あぁ、これがWordPressなんだなぁとおぼろげに感じ入りました。

 

 

WordPressはみんなで作り上げていくもの

 

ウェブサイト制作はよく「家を建てる」ことに例えれられます。URLという「土地」を買ったあと、WordPressという「建物」を建て、カスタマイズという「内装」をする。そしてWordPressという「構物」には、アイディアと技術のある人がいろんな着せ替えを作って、オリジナリティあふれる見せ方や使い方を提案し、みんなにシェアする。使ってみた人の間で「もうちょっとこうしたらいいな」という声があれば、アイディアと技術のある人がそれをよくする特効薬を作り、みんなにシェアする。

そして無事にウェブサイトという「家を建てる」ことができた人は、今度は例えば、WordPressの使い方をいろんな言語に訳したり、「これはよかったよ」と広めたり、体験談を自分のサイトで公開したり、自分なりの方法で「使わせてもらってありがとう」の恩返しをする。

シンプルに考えると、WordPressは作る人も使う人も循環していて、「みんなで作り上げていくもの」なのかなと。それがよく耳にする「WordPressのコミュニティ」なのかなぁと思います。

 

 

WordPressで社会貢献をするという発想

 

WordPressのセンパイたちの講演を聞きました。なるほどそうなのかぁ、と勉強になるお話が山ほどありました。テクニカルとは違う視点からのアプローチで心に響いているのは、額賀順子さんの「WordPressを使って社会の課題解決を目指す」というセッションです。WordPressでウェブサイトを作りあげることこそが日々の目標ですが、その先を見つめてみようよという問いかけを感じました。

仕事や生活という括りを超えて、ずっと大きな視野で自分を見つめたとき、自分はどうやって生きるのか。何をしていきたいのか。生活の糧を稼ぐこと、生活を行うことはもちろん大切ですが、社会に生きる一人として何ができるのか。そうしたときにWordPressでウェブサイトを作り、社会のために役立てるのも素晴らしい貢献ではないか。

額賀さんは瀬戸内海の男木島での暮らしを選び、そこに小さな図書館を作りました。160人しかいないという島の大人にとっても子どもにとっても図書館は今では大切な存在です。WordPressでウェブサイトを作り発信を始めると、島の小さな図書館の存在が世界中に知られるようになりました。その事実に地域の人は驚き、今度は自らWordPressでウェブサイトを作り、自分たちの地域活動を発信し始めるという流れが生まれていきます。

 

 

WordPressでウェブサイトを作ることがどんどん身近に

 

こうしてWordPressを使いウェブサイトを作った人たちの間には、「WordPress」というキーワードで連帯感が生まれているように感じます。そこに携わっている年月が長くても短くても、知識が深くても新米でも、来るものを拒まず、Anybody welcomeという寛容な空気。

WordCamp Tokyo 2019ももちろんプロフェッショナルな方もたくさん参加し、深く高度な話もあちこちで行われていましたが、新米にもやさしい。知識や技術の壁を恐れずに話しかけてみると、温かく受け止めてもらえる。そして関心も持ってもらえる(ような気がする!?)。このフラットな感覚がおもしろいなぁと思います。

世界のあちこちでWordCampが開催されていて、各会場で同じようにフラットな交流があり、さらにWordCamp同士が地球上で横につながっています。そのアメーバーのようなつながりを想像するのもおもしろいです。

世間ではWordPressと聞くだけで「ダメ〜」と腰が引けてしまう人がほとんどだと思います。でもこれからどんどん使いやすくなっていけば「ダメ〜」の垣根も低くなっていくのではと期待しています。つまり、WordPressの潜在市場はそこはかとなくあるのです。

今回はコントリビューターデイで翻訳班に参加し、WordPressに小さなひとつを恩返しできました。次はなにができるかな。なんでもやってみていいよと寛容なWordCampに甘えて、なんでもやってみたいなと思っています。

 

マメノミンタロウ